「首のたるみが気になるの」

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今年の7月、地域の支所に新しく図書室ができた。先日やっと時間を取り出向いてみた。中央の図書館と何ら変わらないシステム。だけれど、所蔵図書はすごく少ない。一通り流して、おや?という興味を引く作品が見つかったので早速借りてみた。

それは、題名がキモ入りで「首のたるみが気になるの」真黄色い装丁とカワイイ自由の女神のイラスト、ノーラ・エフロン?知らないなあ・・・訳はあの、阿川佐和子女史。

これは何だか面白そう!とまったく中身も見ずに借りてきた。その内容は、ホワイトハウスの政治記者から、後には脚本家、映画監督と幅広い活躍を生涯続けた一人の女性の、隠しようのない「首のたるみやシワ」といった老化問題から住居、料理、脳内恋愛etc.。女性の本音をつぶやいた抱腹絶倒の一書だった。

 文中より・・・「老いることは素晴らしい」そんなことを平然と語る人たちが存在すること自体、私には信じられない。いったい何を考えているのだろう。この人たちに首はないのか?首が隠れる服を探すのに苦労したことはないわけ?と、日常の不満、願望、日常的妄想をつぶやいたのよ。それが全米で大ベストセラーとなったの。抱腹絶倒だけれど、最後はしんみりの極上話をぜひ!

◎目次を羅列する。

バッグは嫌いだ

私を通り過ぎた男とレシピたち

ネバーエンディングお手入れ

見えない、読めない、どこにもない

親業たるもの

さらば、愛しきアプソープ

私とJFK~今だから言えること

私とビル~なぜ愛してしまったのだろう

住んでいる

人生を3500語以内で述べよ

失われたシュトルーデルを求めて

ブック・アディクト

知ってりゃよかった

さよならを言う前に

 さて、訳を施した阿川佐和子女史について、少し触れてみよう。

集英社のD女史から、翻訳の話を頂いた時、「うわ、やりたい、やりたい!」とあれほど騒いだのに、送られてきた原書と資料を床に積み上げて延々として作業に入れないまま随分と月日が流れてしまった。

なぜできなかったのか?その理由は簡単で、目の前の必要、切迫事項例えば、対談の準備や小説の締め切りなどに追われて、ついこの翻訳がどんどん後回しにされたということ。佐和子氏もこの著者とは面識があり、いずれNYで対談もしてそれを巻末に入れよう!とか考えつつ、どんどん遅くなってしまい、ついには著者、ノーラ・エフロン女史が亡くなってしまう。

このことで仕事を後回しにしたつけは佐和子氏にとっての痛恨の大ミスとして心に深く残ったのだそう。仕事は早めにね!と。追悼の意義をこめて全身全霊で翻訳に取り組んだあげく、まるでノーラ・エフロンが憑依したような完璧な翻訳としてこの本が出来上がったということだ。

 阿川佐和子女史といえば、「聞く力」が空前の大ベストセラーとなったことは記憶に新しいかな。私は、エッセイストであり、小説家であり、タレントであるだけかと思っていたが、翻訳もできるとは、何と多彩なんだ~?!あの小さい身体にメガトン級の知力パワーが潜んでいるなんて凄すぎるよ。しかも60代で初婚!ワクワクのつまった私生活もさることながらこういった翻訳という世界にも色を添える佐和子氏なんだと再確認したのだ。

今回の紹介書籍

「首のたるみが気になるの」

ノーラ・エフロン 著

阿川佐和子・訳

株式会社 集英社

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